一生懸命働いていると、店長や社長から「正社員にならないか?」と誘われることがあります。
バイトから正社員になるってどうなの?
正社員になれば給料もアップするし、生活が安定します。
大学生なら苦労して就活するより、今働いているところに就職する方が楽だと感じられるでしょう。
しかし、バイトから正社員になるのは良いことばかりではありません。
良い面もあれば悪い面もあるため、慎重に判断する必要があります。
そこで今回は「バイトから正社員になるメリット・デメリット」についてご紹介。
大学生やフリーターで正社員になるか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
正社員登用制度とは?
アルバイトなど非正規雇用の従業員を正社員として雇用する制度のことです。
法律で定められているものではなく企業が設けている制度のため、どういう流れで正社員になれるかは会社によって異なります。
声をかけられて合意すればすぐに正社員になれる会社もあれば、面接や試験を経て合格すれば正社員になれるという会社もあります。
正社員登用制度があることで、企業は求める人材を雇用しやすくなります。
まずバイトとして契約し、実力がついたら正社員として有期契約することで、コスト削減にもなります。
一方、従業員は正社員になることで安定した収入が得られるようになります。責任のある仕事を任されるようにもなるため、やりがいにもなります。
厚生労働省が発表した「労働経済動向調査(平成29年2月)の概況」によると、68%の企業が正社員登用制度を導入しています。
制度がなくても後から正社員に登用されるケースはあるため、雇用主次第であるとも言えるでしょう。
バイトから正社員になる方法
バイト先の会社によって条件は異なりますが、正社員登用への期間が決まっている場合と、雇用主自らが打診する場合があります。
求人情報に「正社員登用あり」または「半年後~1年後に正規雇用」のように表現されている場合があります。
はじめから正社員を目指すのであれば、面接時に「正社員を目指しています」と伝えることで、一定の期間が過ぎた後に正社員への代診があるでしょう。
しかし、正社員になりたいと伝えていないのに、正社員にならないかと代診があるのは、あなたが有能である証明でもあります。
会社に欠かせない存在であることから、「他の会社に取られたくない」「もっと活躍して欲しい」というような意図があり、正社員を打診するのです。
いずれにせよ、正社員にならないかと誘われるのは、あなたの実力を認めてくれた証拠です。
素直に喜び、今後の身の振り方を考えましょう。
バイトから正社員になるメリット
急に正社員にならないかと言われても、どうすれば良いか困る人が多いでしょう。
好きでやっている仕事でも、バイトと正社員とでは全く立場が違います。安易に決めることはできません。
そこで実際にバイトから正社員になった場合、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
給与や待遇が安定する
非正規雇用であるバイトに比べて、正社員になると給料は高くなり、待遇も安定する傾向にあります。
バイトだと自分の希望より少ない日数や時間しか入れないことも多く、収入が不安定になりがちです。
会社の業績が悪くなった時は、正社員よりも先に契約止めにあう可能性が高く、どうしても不安定な生活を送ることになります。
しかし、正社員であればフルタイム勤務が基本であるため、収入が安定します。
有給休暇や家族手当があったり、ボーナスがもらえることもあり、バイトと比べて多くの収入を得ることができます。
また、社会保険にも加入することができるので、いざという時の備えにもなります。
人間関係で安心できる
全く知らない会社に就職した場合、入ってみるまでどんな人と仕事をするのかわかりません。
職場に合わない人がいると、人間関係に苦しむ可能性もあります。
しかし、これまで働いてきた職場であれば、同僚や上司との付き合い方もわかっているはずです。
特にコミュニケーションの取り方で苦労することなく、働けるのではないでしょうか。
また、アルバイトやパートが多い職場であれば、スムーズな業務遂行に彼らの信頼や協力は欠かせません。
新卒で入ってきた社員より、以前から一緒に働いてきた人間の方が現場をまとめるのに有利であるため、人間関係を形成しやすいです。
即戦力として働ける
一般的に新入社員は勝手がわからない状態で研修からスタートします。
挨拶の仕方や敬語の使い方から学び、実際に現場に出るまで随分時間がかかるでしょう。
ごく簡単なことでもいちいち誰かに確認を取らなければいけないため、退屈だと感じられるかもしれません。
その点、既にバイトとして働いていれば、業務の流れを把握しているため、即戦力として働けます。
何も知らない新人と比べて自分の頭で考え、行動することができるため、社員しかできない仕事でも早く覚えられます。
成長スピードがアップすることで、より責任のある仕事を任されるようになります。仕事に対するやりがいも感じられるでしょう。
努力が評価されやすい
バイトでも正社員と同等以上に活躍する人はいますが、正社員と比べて評価は高くありません。
バイトをしていると「この部分を改善すれば良い」と思いつくこともありますが、店長に進言してもなかなか取り入れてくれません。
どんなに頑張っても給料が上がることは少なく、責任のある仕事を任せてもらいにくいため、やる気を失うこともあるでしょう。
反対に、正社員であれば努力が評価に繋がりやすいです。頑張れば頑張るほど昇給したり、上のポジションを任されるようになるかもしれません。
自分のアイディアを取り入れてもらえることも多いため、仕事に対するモチベーションも高まるのではないでしょうか。
社会的信用が得られる
バイトから正社員になると、社会的信用が得られるようになります。
他の企業への転職や、金融機関からの信用調査などにおいて、プラスの評価になるからです。
たとえば、バイトより正社員の方がクレジットカードを作りやすくなります。
家を借りる際も許可が降りやすくなり、怪しい人物だと思われません。
社会的信用が得られることで、行動範囲は広がるでしょう。
バイトから正社員になるデメリット
一方、バイトから正社員になることは良いことばかりではありません。
デメリットを知らずに正社員になった結果、バイト時代にはなかった苦労を強いられます。
正社員になって後悔しないためにも、バイトから正社員になるデメリットも把握しておきましょう。
責任が重くなる
正社員になることで、責任を負わなければならない場面が増えます。
常に売上のことを意識しなければいけないため、スタッフ教育やシフト調節などで頭を悩ますことも多くなるでしょう。
会社によってはノルマを課せられることもあり、達成できなければ降格や減給になる可能性もあります。
また、お客さんからクレームがあった時は、社員が対応することになるため、精神的に負担を強いられる場面も増えます。
バイトなら困ったことがあっても、誰かに引き継げば良いですが、正社員になるとそういうわけにはいきません。
これまで以上にプレッシャーやストレスを感じることになるでしょう。
休みにくい
バイトであれば希望する日に休みを取ることもできますが、社員になると難しくなります。
基本的にフルタイムで働くことが求められ、繁盛店であれば残業を余儀なくされることもあるため、休みは少なくなります。
飲食店などのサービス業であれば、人手の足りない日や稼ぎ時に社員が休みを取るわけにはいきません。
土日休みが基本の職種であっても業務の進捗状況によっては休日出勤せざるをえないこともあり、重労働を強いられます。
退職が難しい
正社員になると、バイトより退職が難しくなります。
退職にはルールが定められており、一定の手続きや通告期間が必要になるからです。
1ヶ月以上前から計画する必要があるし、会社に損害を与えないようにしなければいけません。
万が一、バックレて辞めようとすれば、バイト時代より訴えられる可能性が高くなります。
たとえ人間関係で辞めたくなったとしても、すぐには辞めさせてもらえないでしょう。
安く使われる可能性がある
正社員になれば一般的に月収は上がりますが、時給のように従量制ではないため、思った以上にもらえない場合もあります。
もし、残業手当をきちんと払ってくれない会社だった場合、残業や休日出勤で労働時間は長くなっている割に給料が安いということもあります。
時給に換算するとバイト時代と変わらないか、下手すると安くなってしまうこともあるのです。
各種税金や保険などで引かれる金額も多く、「手取りはバイトより少ない」ということもありえます。
異動や転勤の可能性がある
正社員になったからといって、ずっと同じ職場で働けるとは限りません。人事異動や転勤で他県に行く可能性もあります。
せっかく今の職場で人間関係を形成しても、異動したらまた最初からになります。中には合わない人もいるかもしれません。
チェーン店や小会社があるような大きな会社であれば、転勤はつきものです。転勤が嫌だからと言って、なかなか業務命令に逆らうこともできません。
恋人や家族がいる人は、一緒に暮らすか離れて暮らすか悩ましい選択を迫られることになるでしょう。
バイトから正社員になれる人の特徴
バイトから正社員になれる人は限られています。
長くバイトしているからといって、誰もが正社員を勧められるわけではありません。
雇用主から見て、「この人を正社員として採用したい!」と思わせる何かが必要です。
そこで、バイトから正社員になる人の特徴をご紹介します。
仕事ができる
バイトから正社員になるためには、仕事ができる人物である必要があります。
仕事ができる人は、業務において高いパフォーマンスを発揮し、会社に貢献するからです。
仕事中は真面目に取り組み、責任感を持たなければいけません。
バイトでも一定の成果を上げている人であれば、正社員に誘われやすくなるでしょう。
コミュニケーション能力が高い
コミュニケーション能力が高い人は、周りの評価が高くなります。
同僚と良好な関係を築いていることで、仕事の円滑な進行に寄与するからです。
誰かが困っているときに手を差し伸べたり、シフトを代われる人は頼りになります。
店長や上司から「この人ともっと働きたい!」と思われれば、正社員に誘われるでしょう。
忠誠心がある
バイト先への忠誠心がある人は、安定感をもたらします。
組織に対して献身的な姿勢を示すことで、信用できるからです。
忠誠心がある人は勝手に会社を休んだり、不正行為をしません。
組織にとって価値あるメンバーと見なされ、正社員に誘われやすくなるでしょう。
成長意欲がある
積極的に学ぼうとする成長意欲がある人も、バイト先からの評価が高くなります。
新しい課題やスキルの習得に積極的であり、組織の変化にも迅速に対応できるからです。
成長意欲があると、継続的なスキルアップやトレーニングに参加し、自らの成長に注力します。
今後の成長が期待できるため、正社員として採用する価値があると判断されるでしょう。
問題解決能力がある
問題解決能力がある人も、正社員として誘われやすいです。
困難な状況や課題にも冷静に対処し、解決策を見つけられるからです。
変化に適応できることは企業にとって重要であり、顧客への信頼には欠かせません。
バイト先でリーダーシップを発揮していれば、正社員にならないかと言われるでしょう。
バイトから正社員になるよくある悩み
今までバイトとして働いていた人が、正社員になるのは不安です。
以前より働き方の自由度は低くなるため、本当に得するのかわかりません。
そこで、バイトから正社員になるよくある悩みをご紹介します。
バイトから正社員だと面接はどうなる?
バイトから正社員登用になるケースでも、面接が行われる場合があります。
改めて面接を行うことで、正社員としてふさわしい人物か見極めたいからです。
通常の面接のように、志望動機を聞かれたり、将来の目標を聞かれます。
小規模の会社だと面接がない場合もありますが、基本的にはあるものだと認識しておきましょう。
高校生でもバイトから正社員になれる?
高校生でもバイトから正社員になることはできます。
18歳以上を採用している会社なら、基準は満たしているからです。
たとえば、高校生の3年間バイトをして貢献していたのであれば、正社員登用されても不思議ではありません。
大学に行かないのであれば、新入社員として迎え入れてくれるでしょう。
バイトから正社員は給料が下がる?
バイトから正社員になると、一時的に給料が下がる場合があります。
正社員になると社会保険や税金など、額面以外の金額が発生しているからです。
時給ベースで考えると、バイトより下がっても珍しくありません。
賞与がもらえると年収は増えますが、ボーナスがない会社も多いです。
何かと引かれる金額があるため、雇用条件をしっかり確認する必要があるでしょう。
まとめ
正社員にならないかと誘われたら、つい嬉しくなって「バイト先に就職しても良いかな」と考えてしまいがちです。
しかし、良い面もあれば悪い面もあるため、よく考えてから答えを出すようにしましょう。
正社員は良いことばかりじゃないんだね
バイトから正社員になれば責任が重くなる反面、給料や待遇が安定します。
バイトとして働いてきた職場なら人間関係もスムーズになるし、会社の方針に馴染めないといった事態も避けられます。
大学生が就職活動をする際に雇用のミスマッチを防ぐ仕組みとしてインターンがありますが、バイトでも同様の効果があります。
ただし、中には社員にすることで実質安くこき使おうという会社も存在します。
就活より楽だからと、安易に飛びついてはいけません。
契約内容をしっかり確認した上で、先輩に話を聞くなどして冷静に判断してください。
条件さえ納得できれば、正社員になっても問題なく働けるでしょう。