バイト先によっては、制服代が最初の給料から天引きされていることがあります。
制服代って自腹になるの?
バイト先の一員として働くのに、制服代を払わなければいけないのは納得いきませんよね。
採用時に制服を貸してもらい、退職時に返却するものだと思っている人も多いと思います。
実際のところ、制服代を支払わなければいけないバイト先はあります。
制服の貸与に関する法律上の規定はないため、従業員に制服代を負担させても法律違反にはなりません。
制服は仕事で必要なものなのに、なぜ制服代を自腹で払わされるのでしょうか?
その理由を説明するとともに、どんな点に気をつければ良いかについて解説します。
バイトで制服代を払わされる理由
飲食店をはじめ、コンビニやスーパーなど制服を着て働くバイト先は多いです。
制服はそのバイトでしか着ないのに、お金を取られるのは損した気持ちになりますよね。
制服が無いと仕事ができないのに、なぜ制服代が必要になるのでしょうか?その理由を解説します。
汚れやすい仕事だから
汚れやすい仕事だと、制服代を支払わなければいけない場合があります。
例えば、焼肉屋でバイトをしていると、汚れや臭いが制服につきます。
洗ってもなかなか取れないため、使い回すことができません。
飲食店以外でも、ビル清掃や工場の軽作業だと制服が汚れたり傷ついたりします。
制服は消耗品でもあるため、貸与ではなく買取という形にしているのです。
サイズがなくて特注だから
体が大きい人だと、サイズが合う制服がない場合があります。
制服が無いと働けないため、サイズに合った制服を作ることになりますが、その費用は自腹になることがあります。
ある意味、あなた専用の制服であることから、使い回しすることができないからです。
オーダーメイドで作成することになるため、費用もかかります。
そのため、制服のサイズが合わない人には、自己負担してもらうのです。
大切に扱ってほしいから
バイト先から貸与されたものは自分の物ではないため、粗末に扱う人がいます。
激しい動作をして破れたり穴が空いたりすると、取り替えなければいけません。
貸与していると、制服のコストもばかにならないでしょう。
しかし、自腹を切った制服であれば扱い方は変わります。
傷をつけるとまたお金が必要になると考えれば、大切に扱うようになります。
制服に愛着をもってもらえれば、仕事の取り組み方も変わるし、お客さんにも良い印象を与えることができます。
すぐ辞めてほしくないから
早期退職を防止する目的で、制服代を天引きすることもあります。
制服代を支払うことで、「すぐに辞めるのは勿体ない」という感覚になるため、長く続けてもらうきっかけになるからです。
また、制服代を保証金代わりにすることで、バックレや無断退職を防止する役割もあります。
辞めた時にお金が返却されるとなれば、身勝手な辞め方をする人も減ります。
制服を返さない人がいるから
バイトを辞めた後に制服を返さない人がいるため、制服代を払わされる場合もあります。
最初に制服代を徴収しておけば、返さざるを得なくなるからです。
何もしないと返ってこないかもしれないし、転売されかねません。
必ず制服を返してもらうために、従業員に負担を課しているのです。
事前に説明がないのは違法
従業員に制服代を負担させるためには、事前に説明して同意を得る必要があります。
雇用契約書や就業規則でも定めておく必要があり、許可なく勝手に負担させることはできません。
もし、同意せずに給料から天引きしていれば、労働基準法第24条にある「賃金全額払いの原則」に反してしまいます。
また、労働基準法第15条には「労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項」を明示しなければいけないという決まりもあります。
そのため、勝手に給料から制服代を天引きさせることはできないし、していたら法律違反にあたります。
労働条件は、労働者と雇用主が対等の立場にたち、承諾を元に締結されるものです。
意に反する天引き行為は違反になるため、まずは契約書を確認してください。
制服代を払っても退職時に返却することがある
制服代が最初の給料から天引きされても、制服を買ったことになるとは限りません。
退職時には「制服を返却してください」と言われる場合があります。
お金を払ったのに返却しなければいけないのはおかしいですよね。
しかし、これには理由があります。
制服はバイト先のシンボルであるため、辞めた後に使用されると困るからです。
店員でない人が制服を着てウロウロしていると、お客さんに誤解を与えかねません。
有名店であればオークションに出品されるかもしれないし、お店のイメージダウンにも繋がります。
そのため、天引きしたのは勝手な行動を起こされないための保証金扱いになり、購入ではなく貸与になります。
ただし、保証金として支払ったのであれば、退職時に返金してもらえます。
払い損にはならないので、「後から返ってくる」と覚えておきましょう。
制服のクリーニングを求められることがある
制服を返却する際に、「クリーニングしてから返却してください」と言われることがあります。
制服をクリーニングして返却するとなれば、当然クリーニング代が必要になりますが、そのお金は誰が払うのでしょうか?
雇用契約書に「制服はクリーニングして返却する」と定めているところは少ないため、あなたに払う義務はありません。
しかし、社会人としての礼儀から言えば、クリーニングして返却するのがマナーとされています。
気持ちよく退職するためにも、クリーニング代は自己負担して返却しましょう。
なお、給料からクリーニング代が天引きされているのであれば、クリーニングに出す必要はありません。
一度洗ってから返却する程度で十分です。
アパレルバイトでは売り物が制服になる
アパレルのバイトでは、お店で売っている服を制服代わりすることが多いです。
販売している服を着て接客することで、ブランドイメージを体現し、販売促進に繋がるからです。
売り物を制服として着るため、購入したら自分のものになるし、もちろん返却する必要はありません。
従業員への特典として、スタッフ割引で購入することができるため、安く手に入れることもできます。
ただし、いくら割引されるといっても、買いすぎると給料が少なくなります。
明細書を見たら、ほとんど給料が残っていなかった、という事態になるかもしれません。
あくまでも「制服として着ている(購入した)」ということを忘れないようにしてください。
まとめ
制服を着て働くバイト先では、従業員に制服代を払わせることがあります。
最初の給料から制服代が天引きされていたのであれば、その理由を店長や責任者に訪ねてください。
疑問があったら聞いたほうがいいね
制服代を従業員の自腹にするのは、汚れやすくて使い回すことができなかったり、大切に扱ってもらいたいなどの理由があります。
バイト先によっては、退職時に制服代が返金されることもあるため、最初の給料から天引きされても諦める必要はありません。
ただし、従業員の承諾なしに給料から天引きするのは違法です。
従業員に過酷な負担を強いる、ブラック企業・ブラックバイトの可能性もあります。
バイト先は従業員に対する説明責任があり、勝手に天引きしてはいけません。
納得いかない点はきちんと質問し、言いなりにならないようにしましょう。