仕事内容
道路工事の際に交通誘導をする警備員をしていました。
警備員といえば制服を着て不審者を捕まえる仕事を想像しがちですが、警備業にも1号から4号までの業務区分があります。
私が主に従事したのは2号業務でした。2号業務は「交通誘導警備業務」と「雑踏警備業務」に分類されています。
交通誘導警備業務とは、道路工事の際に道路を規制する必要があれば、交通誘導をします。
雑踏警備業務は、イベント会場等で人の流れを誘導します。
私は前者の交通誘導警備業務であり、工事現場の近くを通る人・車を安全な道へと誘導する仕事でした。
応募のきっかけ
バイトをしていた当時はバンドマンで、髪が長髪でした。
当時は長髪だと工場のバイトでも嫌がられるくらい選べるバイトが少なかったのです。
なかなかバイトが見つからない中、警備員募集の求人広告が目に留まりました。
恐る恐る電話をして、最初に「長髪なんですけど」と尋ねたら、電話対応してくれた営業所長が「とりあえず来てみて」と言ってくれました。
面接に行くとその営業所長から「自分も昔はドラムを叩いていた」と聞かされ、音楽の話題になりました。
それからは話が弾んで、長髪でも採用されることになりました。
楽しかったこと
きつい仕事ではありますが、給料が良かったです。日夜連勤すると連勤手当がもらえました。
人手不足でいくらでも仕事があったので、ちょっと無理して頑張るとその分給料が増えました。
独り身でお金を使う機会も少なかったため、貯金も貯まり、少々贅沢な買い物もできました。
また、ベテランになってくると同じようなベテランの同僚と武勇伝を語り合うことがとても楽しかったです。
車に轢かれそうになった、酔っ払いに絡まれた、気が付いたら5連勤していたなど、色んな思い出があります。
同僚と飲みに行くと体験談を言い合いながら、少し話を膨らませつつ、盛り上がったことが楽しい思い出として残っています。
仕事がきつかった分の勲章のようなものでした。
思い出に残っていること
最初に警備員としての教育を受けた頃の思い出が印象に残っています。
営業所の室内で一通りの座学を受けた後、最後に営業所長が「気を付け!」と号令をかけた時でした。
ちょっとマッチョで体の大きい人だったのですが、その「気を付け!」から始まる号令がものすごく大きな声で室内の壁がビンビンと震えるかのような感じでした。
予想していない展開で、軍隊にでも入ったかのような錯覚に陥ったことを覚えています。
その後、新人全員が大声で号令をかける練習をさせられました。
営業所長曰く、「警備員は人の安全のために働く仕事なので、いざ危険が迫っているときに大声を出して注意喚起ができなければいけない。だから大声を出せる練習が必要なのだ」ということでした。
長い間警備員のバイトを続けましたが、とっさに大声を出して危険を知らせるということの重要性は、様々な場面での経験から感じます。
警備員として基本的なスキルであると、今でも思い出として頭の中に残っています。
バイトを体験して
警備員のバイトをするには、ある程度の覚悟が必要です。
交通誘導の警備員であれば、車に合図をして止まってもらったり進んでもらったりするだけの仕事です。
朝から雪の降る寒い冬の日に、一日中通行止めの看板の横にただ立っていたというような現場もありました。
車の運転手からは、怒鳴られたりすることもあります。人の安全のためにやっている仕事のはずなのに、怒られたり文句を言われたりします。
しかし、きつい部分や厳しい部分はありますが、そこそこの給料が貰えるし、人生経験として一考の価値はある仕事だと思います。
私のように長期間仕事を続けベテランになったら、現場で営業や新人教育もこなすようになります。
そうなると、会社からも重宝される人材になるし、自信もついてくるでしょう。
編集者のコメント:
工事現場の交通誘導は見た目簡単ではありますが、一歩間違うと命の危険もあるため、責任重大です。きつい・厳しい部分も多々あるでしょうが、体験者さんからは仕事に対する熱意と責任感を感じ取れました。だいぶ精神面が鍛えられたバイトだったのではないでしょうか。