仕事内容
出勤したらまず店内を掃除して、それから新刊を並べたり、本の置場所を変えたりして、お客さまが見やすいように整えます。
開店したらレジに入ることもありましたし、時には本を探すお客さまのお手伝いをすることもありました。
また、店内に飾るPOPを書くこともあり、おすすめの本や話題の本のPRを狙って書きました。
クリスマスに働いた理由
たまたまバイトを始めたのが12月に入ってすぐだったので、クリスマス時期にも働くことになりました。
思い出に残っていること
書店でバイトを始めてすぐにクリスマスが来たので、仕事に慣れる前に慌ただしく作業に駆り立てられました。
プレゼント用の本にはラッピングをしたり、クリスマスカードをお客さまに配ったりしました。
そんなときに、ある老夫婦が声をかけてきたのです。
「お孫さんのために絵本をプレゼントしたいのだけれど、どれが良いかわからない」とのことでした。
クリスマスの絵本がズラッと並んでいるところに案内すると、新作の絵本を勧めました。華やかなイラストで、小さな子供でも分かりやすい文章の絵本です。
しかし、どうやら老夫婦は納得できない様子で、私も困ってしまいました。
そんな時に、ふと見かけた絵本に私は釘付けになりました。
スベン・オットー作の「クリスマスの絵本」という本で、これは私が小さいときに買ってもらった絵本です。
そこに描かれているのは、遥か昔のクリスマス。美しいイラストが広がっていて、子供心にその美しさに圧倒されたのを覚えています。
私は絵本をもらったときの気持ちを老夫婦に伝えました。すると、納得してくれた様子で、絵本を買ってくれました。
後日クリスマスが過ぎた時に、再び店を訪れた老夫婦から、「ありがとう」と言ってもらえた時は、とても嬉しかったです。
バイトを体験して
それまで本をお客さまに紹介するのは仕事だと思っていたのですが、老夫婦とのやりとりがきっかけで、もっとお客さまに喜んでもらおうと思うようになりました。
絵本をおすすめするときも、子供の年齢に合わせたストーリーを意識したり、読み聞かせるときに読みやすいものを選ぶようになりました。
クリスマスになると、あの老夫婦のことを思いだします。同じような出来事があったときのために、おすすめの絵本を数冊選ぶようになりました。
私の意識を変えた、とても思い出深いバイトです。
編集者のコメント:
クリスマスに書店を訪れた老夫婦とのやりとりをきっかけに、仕事に対する意識が変わったという体験者さん。ただ人気がある本をおすすめするよりも、自分の好きな本をおすすめする方がお客さんの気持ちを掴むことができますよね。書店だけでなく、どんな仕事にも通じることだと感じました。